参加施設に聞く

vol.20 ささはら総合診療科様

 日々の業務にMMWINをご活用いただいているささはら総合診療科様より、活用されているMMWIN情報の内容や今後の活用について、お話をお伺いしました。

患者さんに寄り添った医療活動の役に立つ

Q.病診連携についての活用事例を教えてください
A.現在当院でのMMWIN登録患者さんは15名ですが、東北大学病院、東北医科薬科大学病院、仙台オープン病院、JCHO 仙台病院、石巻赤十字病院、大崎市民病院と連携しています。非常に印象的な事例は、腰痛を訴えてきた患者さんを診察していた過程でMMWIN登録患者であることに気付きました。しかし、病歴には他医療機関の受診歴はなく「MMWINカードをお持ちのようですが、どこの病院で登録されましたか」と聞きましたら、「東北大学病院です」と話されました。「問診ではどこの病院にもかかってはおられないとの事でしたが」「いいえ、私ではなく息子が通院しているのです。息子は脳腫瘍による発語障害があり、その後事故で歩行障害にもなり私が介護しているのですが、大学病院から息子と私二人のMMWIN登録を勧められ登録しました」とのことでした。
  息子さんは自分の夢を叶える為に米国に留学して国際資格を習得し、自分の望んだ仕事に専念しているときに発症し、米国の大学病院で治療を受けていたが効果がなく東北大学病院へ紹介され帰国しました。大学病院でも効果のある治療法は今の所無いとのことで経過観察の状態です。「息子の介護で腰を痛めたのでしょう」と淡々と話す患者さんの心境を思うと、つい言葉を失ってしまいました。この事例より MMWINに登録している患者さん本人の情報のやり取りだけでなく、患者さんのご家族やお世話をしている人が登録する事によって、患者さん周辺の情報や心境をより深く知る事が出来、患者さんに寄り添った医療活動に役立つことを改めて認識しました。

Q.MMWIN運用についてお聞かせ下さい
A.MMWINの現状は患者さんの病状紹介、血液生化学検査値情報の共有が主で、画像に関してはコピー画像程度の低質画像でしたが、4月からCD画像よりももっと高質画像を提供する準備を進めているとのことですので、これによりさらに詳細な情報を共有でき、患者さんの紹介や逆紹介もより迅速に、簡易に出来る事と思います。レ線、内視鏡、CT、MRI、MRA画像データが簡単に共有出来る事は私にとりましては願ってもない事ですし、多くの登録医も待ち望んでいたことと思います。
これによりMMWIN運用に幅ができ新たな登録医も増えることだろうと思いますし、私自身もまだ未入会の先生方にMMWIN運用の利便性について説明してあげようと思います。また当院来院患者さんはMMWIN共通IDカード持参のみで紐付けしていない患者さんが半数程いますので、積極的に紐付けを勧め活用して行こうと思います。

Q.今後のMMWINに期待すること
 または改善点などありましたらお聞かせ下さい
A.これからさらなる高齢化社会でのMMWINの果たす役割が重要になって来るであろうと思います。そのためには医療機関間での情報の共有は勿論のことですが、介護・福祉・薬局・訪問看護等との連携・情報共有も大切なことですし、さらに行政側の積極的な参加も進めていかなければなりません。より充実した地域包括医療システム構築のためのMMWINの役割に非常に期待しております。宮城県全域のグローバルコミュニケーションと同時に地域単位でのローカルコミュニケーションの構築が大切です。当地登米市では市立の全病院・診療所がMMWINに入会しましたので、これからは民間の病院・診療所・介護・福祉施設・薬局等への少しでも多くの参入を働きかけ、より密接な連携と情報の共有の為にMMWINが活用されることを期待しております。
 また、MMWIN登録は患者さんばかりでなく、高齢化社会を考えると、現在医療機関にかかっていない人にも登録・紐付けを勧め、もし病気になったときには速やかに登録・紐付け医療機関への受診をしてもらうなど地域の人達に安心感を持ってもらえる事に期待しております。改善点としては画面の切り替えが少し遅い事と電カルのバージョンアップに対応が遅れることが気になりますので改善していただけたらと思います。

ささはら総合診療科 Data

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