理事長インタビュー

嘉数研二理事長に聞く、「MMWINの現状と今後の展開」

危機的な状況から一転、
スタートした当初より明かりが見えてきたと感じている。

 ---MMWINの推進体制について

 MMWINは、平成23年の東日本大震災をきっかけとして、当時の医療情報の消失などの反省を含め、システムを構築するに至っています。当時の時点では、医療分野において、脳外科や産婦人科、眼科、整形など、各分野でのシステムネットワークが構築されつつありましたが、それらを全てまとめる、という形でスタートしています。
 MMWINのシステムは、『災害に強い医療情報ネットワーク』、『多職種の連携(医師に限らず、看護師、薬剤師、ヘルパーなど)』、『いつでもどこでも医療情報を必要とするときに共有できる』という大きな目標があります。
 平成24年6月に、任意団体から一般社団法人になったのをきっかけとして、理事長に就任しました。その際、薬剤師会や看護協会など、多くの団体が参画してスタートしています。スタート当初より、システムのハードを強固なものにするべく、多額の予算をかけてMMWINのシステムを構築しました。予算をかけた分、立派なシステムが出来上がりましたが、いざ利用を開始するにあたり、利用者の拡充と連携及びシステムのメンテナンスまでのサポートが考えられておらず、危機的な状況に陥ってしまいました。
 その対策として、事務局の体制を変革し、事業推進委員会や戦略的な実務者会議を立ち上げ、進めることに致しました。参加施設数は平成29年7月7日時点で、591施設となり、加入患者数も36,725人と増加傾向にあり、やっと上昇気流に乗ってきたところです。そういった中で、MMWINは宮城県や総務省から補助をいただいて運営しておりますが、宮城県に対し、費用対効果や、事務的な問題の解決に向けて、参加施設の増加や、会費の徴収といった条件を示し、改めて補助金の計画を立て、新たなスタートに向けて進んで行くこととなりました。東北大学の中山理事のリードや、新任の佐々木事務局長の就任などで、スタートした当初より明かりが見えてきたと感じています。

現在の加入患者数は3万人だが、10倍、100倍を目指して行きたい。

 ---MMWINの今後について

 システムの運用も含めて、どういう形でMMWINを進めるか、ということが重要です。参加施設にMMWINは有用だ、と認められるシステムにしなくてはいけません。使いやすく、負担にならない、有用なネットワーク、といったことを目標に、動き続けています。その中でも、心強いのは個別システムの展開です。透析システム、センダードネット(周産期情報対象)や、スマイルネット(脳卒中患者紹介システム)、眼科連携システムなどが具体的に展開してきています。

 介護も調剤も、当初から進んできてはいますが、遅れを取っているのが、診療所、クリニックです。参加診療所数が少なく、データが少ないということは、情報をやり取りするにあたって、ネックになる部分です。既に、大学や基幹病院のデータはMMWINのデータベースの中に沢山入っています。そのため、クリニックの先生は、基幹病院にかかっている患者さんのやり取りを、スムーズに行うことができます。しかし、患者さんが基幹病院から、地域のクリニックに戻された際、参加クリニックが少ないと、情報のやり取りが出来ず、不十分になってしまいます。地域の中で、多くの患者さんがMMWINに加入していれば、紹介をしたり戻したりということが可能となります。しかし、まだそこまで行っていないというのが現状です。現在の加入患者数は3万人を越えたところですが、もっと10倍、100倍を目指して行きたいと思います。中山理事より、今までのやり方を強化するために、アウトソーシングを使って、参加施設の増加に向けて進めると聞いています。患者さんの加入促進も活発に行なっているので、この調子で進んで欲しいと思っています。

地域包括ケアにおいても
MMWINが大きな役割を担い、果たすことができると思う。

 現在、取り組んでいる大きな課題として、画像連携システムがあります。画像情報がないと、医療としてはどうにもならないと考えています。CTやMRIなど、言葉や文字情報以上の情報伝達が、強力であるのは御承知の通りです。
 ただ、画像を扱うと簡単に言っても、科や用途によって違うので、必要画像の解像度の調整が難しいと思っています。精密さの相違の点で苦労しながら進めているところだと思います。そういったことを含めて、便利で、意欲の出るシステムになって欲しいと願っています。会費についても、納得できる会費であることが大事だと考えています。もちろん、費用対効果に見合った会費であって欲しいし、オプションシステムの可否などで、プラスアルファがある等、参加施設の皆さまが納得できる形であることを願っています。

 最近は、遠隔地医療も視野に入れていかなければと思っています。宮城県内でも、都市部から離れていくと、医師不足や産科の不足なども出てきています。そういった部分で、ネットワークを利用した連携が進んでいくことが必要だと思っています。ネットワークの利用で、診療報酬が算定可能にもなりますし、今後、国も同じ方向に進んでいこうとしているので、MMWINは有効だと思っています。国策として、地域包括ケアシステムも始まっています。システムというよりは、ネットワークで連携が可能となっています。その中で、MMWINが大きな役割を担い、果たすことができると思っています。今後共、より良いネットワークシステムになるよう、一丸となって進んで行きます。


嘉数 研二(カカズ ケンジ)

社団法人 日本整形外科学会認定整形外科専門医、運動器リハビリテーション医、リウマチ医、スポーツ医、麻酔科標榜医 医学博士。一般社団法人みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会の発足当初より、当協議会の理事長を務める。医療法人社団 嘉数会理事長、宮城県医師会会長も務める。