参加施設に聞く

vol.12 かわむらこどもクリニック様

お母さんの不安を解消するツールとしてMMWINを活用
- かわむらこどもクリニック 
理事長・院長 川村和久先生にお話を伺いました -

 私は、25年前に「お母さんの不安・心配解消」を理念に開業をしました。お子さん本人の治療にと止まらず、お母さんに安心感を与えられるような診療を心掛けています。今年の夏に、お母さんのご実家が近所だとの事で、祖父母の勧めで初めて診察に来られたお子さんがいました。

 初診ですぐに大学病医院へ紹介し、2か月程度入院したケースでした。入院中に一度面会に行っているのですが、その際に、事前にMMWINで情報を確認し、検査結果などを把握した上でお母さんと話をし、「もう少し入院長引きそうだね。頑張ってね!」などを励ますことができました。
 また、定期的にMMWINを覗いていると検査数値も回復していく傾向にあり、間もなく退院かな?と思って経過を観察していました。間もなくして、入退院の表示が「退院」を示しました。内心で良かったなぁーと思ってると、退院当日にお母さんが来院されて「お陰様で退院しました。」とわざわざご報告に来てくれました。

 私は、そのお母さんに会ったのはたった数回だけですが、お母さんの不安を解消するツールとしてMMWINを活用することができました。小児科では、主に急性期のお子さんを紹介するケースが圧倒的に多く、入院も3日から1週間程度ですが、このようなケースでもMMWINが活用できれば良いと思っています。すでに、宮城県内の大規模病院がMMWINに加入されました。今後、「病診連携」がしっかりと確立されて、病院がイニシアチブをとって牽引してくれることを期待しています。
 小児科ではあまり画像を重視して連携するケースは少ないですが、先述したように、お母さんの心配解消という点で、検査数値や画像を示すことで「除外診断」に活かすことができます。言葉では伝えられない事の「見える化」と言えるかもしれません。今後、大規模病院での画像診断だけでなく、星稜クリニックとの「診診連携」にも取り組んでいきたいと考えています。また、情報システムを活かしてリアルタイムに情報を整理・提供するという意味では、小児科にとって役立つのは、感染症の症例数やワクチン接種率というような情報をMMWINを介すことでリアルタイムに情報処理する事です。従来の手間を省きかつ正確な情報が得られると思います。これらの情報は医療従事者だけでなく一般の方々にも情報提供できるのではないかと思っています。インフルエンザ発症源や蔓延地域などを情報提供できれば一般の方々にも役立つし、ワクチン接種率も意外に低い事があるので、そのような情報も提供できれば接種に繋がるのではないでしょうか?

 このような国の補助事業は、MMWINに限らず、補助金がなくなったら終了というケースが少なくありません。他地域の医療連携の事例や様々な協議会などでも話題に出ますが、果たしてうまくいっているでしょうか?MMWINは宮城県単位で取り組んでいますので、日本でも最も大きな医療連携の単位と言えます。また、ほとんどの大規模病院が加入しましたので、1つのシステムを介して他に類をみない連携が可能な体制が出来上がったと言えます。

 今後は、どのように運用していくかという事ですが、まずは、操作性の向上です。常にバックグラウンドでMMWINが立ち上がっており、すぐに情報が見られる事や、他施設とのコミュニケーションツールを活用して予約の取得ができたりすることができれば便利だと思います。また、医師の学習ツールとしても活用できるのではないでしょうか。先述の感染症のサーベランスだけでなく、診療情報や新薬情報などの情報も得られれば役立つと思います。
 次に費用対効果です。誰が利益享受者かという事を念頭に置き、患者さん(お母さん)に役立てられる診療情報や、お母さんの心配・不安解消に役立てられる情報が得られれば今後の利活用に取り組んでいきたいと思います。幅広い連携や診療所の費用負担軽減のためにも、さらに多くの医療機関に参加いただくことも重要かと思います。

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