参加施設に聞く
vol.22 伊藤医院様
日々の業務にMMWINをご活用いただいている伊藤医院様より、活用されているMMWIN情報の内容や今後の活用について、お話をお伺いしました。
事業継続の必要性、先進的な成功例を
加美町(旧 中新田町)で循環器科・内科を開業しております。
患者さんの多くは加美郡内(加美町・色麻町)の方で、大崎市に隣接していることから、専門的治療が必要な際には多くの方が大崎市民病院のお世話になっております。主な連携先は大崎市民病院ですが、東北大学病院や仙台オープン病院など仙台市内の基幹病院に定期通院中の方も多くおります。地域柄70~80代以上の高齢者が多いこともあり、他院に通院していてもご自分の病名や病歴を説明できない方が少なくありません。そんな時、MMWINで病名や投薬内容・血液検査結果を確認することで、他院での治療経過を確認することができます。また、病院・診療科によっては、入院サマリーもMMWINにアップされているので、手術入院された患者さんの原疾患や術式、入院中の経過についても情報を得ることができて非常に役立っております。
逆に、当院かかりつけの患者さんが夜間休日に救急搬送された際には、基幹病院の先生方に、当院の処方内容や血液検査結果を参照いただくこともできます。検査結果や処方内容の確認以外に、以下のような活用例もありました。
〈活用例①〉
患者さんは採血されたらすべての項目を検査していると思っているので、心筋梗塞後の患者さんに血液検査を勧めるも『先週、他院外科で血液検査を受けて大丈夫と言われた』と断られた。MMWINで他院の血液検査項目を確認したところ、腫瘍マーカーと肝腎機能・血算のみだったため、その旨を説明した上で、冠危険因子の管理のため脂質や血糖の検査を当院で追加した。
〈活用例②〉
当院の定期血液検査で腎機能悪化を認めた。MMWINで他院からの内服薬を確認したところ、2カ月前に免疫抑制剤の投与が開始されたことが分かったため、先方の病院に薬剤による腎機能障害の可能性を伝えた。
〈活用例③〉
脂質異常症に対して当院からスタチンを投与していたが、MMWINを参照したところ、他院からもスタチンを処方されていることが判明した。患者さんは、各病院毎にお薬手帳を持っていて計4冊。当院からのスタチンを中止した上で他院に脂質管理を依頼。次回からお薬手帳を1冊にまとめるよう患者さんに指示した(本来なら、かかりつけ薬局を1カ所決めるべきですが)。
当院では、2017 年12月からMMWINが稼働し登録患者数は100名を越えたところです。当初、『このあいだ大崎市民病院の待合室で勧められたけど、何だかよく分からなかったから断った』という患者さんが多かったため、現在では、大崎市民病院に数カ月毎に定期通院している患者さんおよびそのご家族には、MMWIN のメリットを説明した上で、『市民病院に行ったら、エスカレーターで2階に上がってすぐ左側にMMWIN 登録ブースがあるから、そこで市民病院と伊藤医院の診察券を出して登録してきてくださいね』とお話ししています。登録後、当院での診察時に大崎市民病院の血液検査結果や処方内容をお見せすると、どの患者さんもMMWINによる病診連携のメリットを実感されています。
〈今後について〉
当院では、電子カルテのバックグラウンドで常時MMWINを立ち上げておき、必要時に随時参照していますが、外来診療中に活用するにはストレスのないアクセス速度が必須です。今年3月のリプレース(アップデート)でアクセス速度が改善してストレスがかなり減りました。今後、画像共有も始まるのでますます便利になると思いますが、データ量の増加によりアクセス速度が低下することがないようお願いしたいと思います。
今私が一番心配しているのは事業の継続性です。国の補助金による新規事業立ち上げは、補助金期間が終了すると運営資金不足のため継続できなくなる事例が多々あります。このMMWINを永続させるためには宮城県からの継続的なサポートが不可欠です。東日本大震災で沿岸部の医療機関が流されて医療情報も失った経験を持つ我が県なら医療情報のバックアップと情報共有の重要性を認識していると思いますが、まだ納税者である県民全体にMMWINが十分に認知されている状況ではないと思います。県民に『我々にとってMMWINは不可欠。税金投入を惜しまない』という共通認識を持ってもらえるよう、MMWINや宮城県医師会からの情報発信も重要と思います。
私は、2016年10月から理事長・院長の職を父より引き継ぎました。大正15年に開業して90余年、私で4代目になります。それまでは、東北大学病院循環器内科で不自由のない診療をしてきましたが、開業医になってみるとできることは限られているため、病診連携の重要性を今まで以上に感じております。 MMWINは病診連携をスムーズに進めるために有用なツールですので、まだ参加されていない医療機関の方にもぜひご参加いただきたいと考えております。先進的な成功事例を全国に発信していきましょう。
患者さんの多くは加美郡内(加美町・色麻町)の方で、大崎市に隣接していることから、専門的治療が必要な際には多くの方が大崎市民病院のお世話になっております。主な連携先は大崎市民病院ですが、東北大学病院や仙台オープン病院など仙台市内の基幹病院に定期通院中の方も多くおります。地域柄70~80代以上の高齢者が多いこともあり、他院に通院していてもご自分の病名や病歴を説明できない方が少なくありません。そんな時、MMWINで病名や投薬内容・血液検査結果を確認することで、他院での治療経過を確認することができます。また、病院・診療科によっては、入院サマリーもMMWINにアップされているので、手術入院された患者さんの原疾患や術式、入院中の経過についても情報を得ることができて非常に役立っております。
逆に、当院かかりつけの患者さんが夜間休日に救急搬送された際には、基幹病院の先生方に、当院の処方内容や血液検査結果を参照いただくこともできます。検査結果や処方内容の確認以外に、以下のような活用例もありました。
〈活用例①〉
患者さんは採血されたらすべての項目を検査していると思っているので、心筋梗塞後の患者さんに血液検査を勧めるも『先週、他院外科で血液検査を受けて大丈夫と言われた』と断られた。MMWINで他院の血液検査項目を確認したところ、腫瘍マーカーと肝腎機能・血算のみだったため、その旨を説明した上で、冠危険因子の管理のため脂質や血糖の検査を当院で追加した。
〈活用例②〉
当院の定期血液検査で腎機能悪化を認めた。MMWINで他院からの内服薬を確認したところ、2カ月前に免疫抑制剤の投与が開始されたことが分かったため、先方の病院に薬剤による腎機能障害の可能性を伝えた。
〈活用例③〉
脂質異常症に対して当院からスタチンを投与していたが、MMWINを参照したところ、他院からもスタチンを処方されていることが判明した。患者さんは、各病院毎にお薬手帳を持っていて計4冊。当院からのスタチンを中止した上で他院に脂質管理を依頼。次回からお薬手帳を1冊にまとめるよう患者さんに指示した(本来なら、かかりつけ薬局を1カ所決めるべきですが)。
当院では、2017 年12月からMMWINが稼働し登録患者数は100名を越えたところです。当初、『このあいだ大崎市民病院の待合室で勧められたけど、何だかよく分からなかったから断った』という患者さんが多かったため、現在では、大崎市民病院に数カ月毎に定期通院している患者さんおよびそのご家族には、MMWIN のメリットを説明した上で、『市民病院に行ったら、エスカレーターで2階に上がってすぐ左側にMMWIN 登録ブースがあるから、そこで市民病院と伊藤医院の診察券を出して登録してきてくださいね』とお話ししています。登録後、当院での診察時に大崎市民病院の血液検査結果や処方内容をお見せすると、どの患者さんもMMWINによる病診連携のメリットを実感されています。
〈今後について〉
当院では、電子カルテのバックグラウンドで常時MMWINを立ち上げておき、必要時に随時参照していますが、外来診療中に活用するにはストレスのないアクセス速度が必須です。今年3月のリプレース(アップデート)でアクセス速度が改善してストレスがかなり減りました。今後、画像共有も始まるのでますます便利になると思いますが、データ量の増加によりアクセス速度が低下することがないようお願いしたいと思います。
今私が一番心配しているのは事業の継続性です。国の補助金による新規事業立ち上げは、補助金期間が終了すると運営資金不足のため継続できなくなる事例が多々あります。このMMWINを永続させるためには宮城県からの継続的なサポートが不可欠です。東日本大震災で沿岸部の医療機関が流されて医療情報も失った経験を持つ我が県なら医療情報のバックアップと情報共有の重要性を認識していると思いますが、まだ納税者である県民全体にMMWINが十分に認知されている状況ではないと思います。県民に『我々にとってMMWINは不可欠。税金投入を惜しまない』という共通認識を持ってもらえるよう、MMWINや宮城県医師会からの情報発信も重要と思います。
私は、2016年10月から理事長・院長の職を父より引き継ぎました。大正15年に開業して90余年、私で4代目になります。それまでは、東北大学病院循環器内科で不自由のない診療をしてきましたが、開業医になってみるとできることは限られているため、病診連携の重要性を今まで以上に感じております。 MMWINは病診連携をスムーズに進めるために有用なツールですので、まだ参加されていない医療機関の方にもぜひご参加いただきたいと考えております。先進的な成功事例を全国に発信していきましょう。
伊藤医院 Data
〒981-4234 宮城県加美郡加美町旧舘一番80-2
TEL:0229-63-2025