参加施設に聞く
vol.34 みちのく歯科診療所様
医科歯科連携におけるMMWINの活用について、みちのく歯科診療所 院長 川村 洋先生(大崎歯科医師会理事)にお話を伺いました。
医科歯科連携の場面でも
MMWINが活用されています
全身状態の把握
中核病院と連携しているケースにおいて、特に画像や検査結果のデータを参照しています。化学療法を行なっている場合、ステージによって抗がん剤の効き目が変わり、それに応じて口内の粘膜に症状が出ることがあります。その影響により食欲不振から栄養障害に繋がる場合があるので、全身状態を把握し、準備と対策を立てるためにMMWINを活用しています。がんの進行は早く、主治医に確認しても返事が来るまで時間がかかり、その間にさらに状況が変わることもあります。迅速に多くの情報を確認できるのがMMWINのメリットであると思います。また、神経難病の患者さんの訪問診療も増えています。進行性のため、食事が出来なくなったり、誤嚥のリスクも高くなったりします。主治医が変わることも多いのですが、その中で患者さんが今どのステージにいるのかを、MMWINを参照して把握することができます。 骨修飾薬使用のケースでは顎骨壊死との関連もあるので投薬状況の把握が重要です。注射で投薬された分の情報はお薬手帳に記載されませんが、MMWINを参照すれば、処方薬も注射の情報も一度に見ることができるので助かります。
主病を治すための、支持療法
大崎市民病院と歯科の間で一番大きな連携として、術前口腔機能スクリーニング(周術期の口腔機能管理として、全身麻酔症例の患者全てを歯科に通すこと)があります。主病を治すため、感染予防、栄養確保目的の支持療法として口の中の環境整備はとても大事です。医科と歯科の連携が取り上げられるようになり、歯科も医科の中に取り込まれるようになってきましたので、若い先生にはもっと他科の先生とやり取りをして欲しいと思います。歯科はまだまだ閉鎖的な医療環境ですが、それを広げ、融和させられるのがMMWINだと思います。カンファレンスでの活用事例
在宅診療、特に看取りは、訪問医と訪問看護の負担が大きくなります。そこで最近は、訪問診療の一角を歯科が担うという流れがあります。医療で重要なのは情報です。MMWINをうまく活用できれば、必要な情報を素早く集めることが可能になります。 先日、訪問診療を行なっている患者さんで、緊急性の高いケースがありました。複数の科で診察を受ける中、病状はどんどん進行して食事や呼吸も難しくなっていく事に、患者さんが不安を感じていました。患者さんの不安を取り除くためには、こちらもしっかりと情報を把握した上で、きちんとした説明をする必要がありますが、その時は前の科に情報を問い合わせる時間がありませんでした。そこで、患者さんにMMWINについて説明し、加入して頂きました。MMWINに事情を話すとIDを即時発行してもらえたので、カンファレンスでは関係者間でしっかり情報共有できましたし、患者さんにも説明できて助かりました。医療のスリム化を
MMWINは震災を機に出来上がったシステムで、当初の目的である「医療情報の保存」の他に「情報共有」も出来るようになり、それにより医療のスリム化を図れるのではないかと考えています。同じような検査や大それた機器で医療は肥大化し、医療費も膨張しています。正確な検査をするのに高度な精密機器は必要ですが、効率的に「情報共有」をしていくことが大切だと思います。そういった現在の医療をスリム化していくのに、MMWINが一役買ってくれることを期待しています。みちのく歯科診療所 Data
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