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▶︎その1 スマイルネット

【その1】スマイルネット

 脳卒中ネットワークであるスマイルネットについて、発足から中心的役割を担ってきた清水宏明先生に説明して頂きます。

スマイルネットとは?
秋田大学大学院医学系研究科
脳神経外科講座 清水宏明 教授
スマイルネットは、脳卒中診療における急性期治療、リハビリ、慢性期治療、そして外来・介護にいたるまで、医療機関間でオンラインシステムにて、診療データベースを共有・活用することにより、転院支援や情報伝達の効率化をはかろうとするものです。
 2010年に一般社団法人宮城県脳卒中ネットワーク(代表理事:冨永悌二東北大学脳神経外科教授)が設立されて、スマイルネットが構築され、「3.11」の震災のあと急性期病院と回復期リハビリ病院間を中心として利用が進みました。2015年3月にMMWINが運営主体となったあとも、しばらくMMWINシステム本体とは別のシステムとして運用していましたが、2018年にMMWINシステムとして再構築され、新しいスマイルネットに生まれ変わりました。
 様々な機能がありますが、現在まで、主に急性期病院と回復期リハビリ病院間のオンライン転院支援やオンライン脳卒中地域連携パスとして利用されています。

コミュニティについて
 スマイルネットの参加施設は下記の通りです。現在は脳卒中診療に関わる急性期病院と回復期リハビリ病院が主ですが、機能としては慢性期・維持期の病院や診療所、介護施設にも利用可能な情報連携を備えています。
 <参加施設(2019年3月現在)>
急性期病院:広南病院、仙台医療センター、みやぎ県南中核病院、気仙沼市立病院
回復期病院:東北医科薬科大学 若林病院、松田病院、坂総合病院、仙台リハビリテーション病院、東北公済病院、公立黒川病院、東北労災病院、泉病院、総合南東北病院、中嶋病院、内科佐藤病院、川崎こころ病院

現在の状況
 2011年以降、年3回ほどのスマイルネットユーザーズミーティングを実施して、参加施設皆でシステムや運用方法を議論し、改善を図ってきました。下記は2017年7月までの登録患者数の推移を示したグラフで、ユーザーズミーティングで提示したものですが、毎年増加し現在は1万名を超える患者が登録されています。

2018年にMMWINシステムとしてリニューアルしたスマイルネットは、システムの改善がこれまでよりきめ細かに可能となっており、ユーザーズミーティング等でご意見をいただきながらより使いやすいシステムにしていく努力をしています。

今後の方向性
 2018年にMMWINシステムの一部となったことは、スマイルネットにとって大きな意味があると考えています。第一に、それまでのスマイルネットは脳卒中患者限定での独立した運用であったため、スマイルネット参加施設はMMWINに参加していてもMMWINの他のシステムを使用することはまれでした。今回、全ての患者に対応したMMWINシステムとスマイルネットが一体となったため、MMWINの様々な機能、たとえば、薬剤情報、検査情報、各種レポート類、そして今後は画像連携などの機能がより身近に、使いやすくなったといえます。

MMWINについて期待すること
 MMWINは、本年3月現在、県内の病院の60%、保険薬局の35%、診療所の18%、介護事業所などの15%が参加し、10万人超の加入患者を有する日本で最大規模の医療福祉情報ネットワークとなりました。
 今後、ID紐づけがさらに円滑になることで、日常臨床の隅々まで利用価値の高いシステムになり、医療福祉の安全性と質を高め、従事者すべての業務負担を軽減し、医療介護費用の増加抑制につながるものと信じています。これらを通じて、宮城県民の生活の満足度が向上することを期待しています。