医療関係者の方
ここは臨床に役立つ情報を提供していくページです。是非先生方でお互いに情報提供をして
いただけますと幸いです。 (MMWIN事務局)
第9回目は経皮的僧帽弁接合不全修復デバイス
「マイトラクリップ®(MitraClip®)」についてです。
2022.8.23
COAPT試験においては、高度または中等度から高度の機能性MRを有する心不全患者614名を対象に、至適薬物療法単独群と比較して、MitraClip®+至適薬物療法群の有効性を評価しており、LVEF20-30%の患者においてもLVEF30%以上の患者と同様に全死亡、心不全による入院、6分間歩行、QOLといった様々な指標において、MitraClip®+至適薬物療法群で有意な改善を認めたことが示されております。
当院においては、2022年7月にMitraClip®治療の初回症例を経験し、ハートチームのもと今後も症例を重ねてゆく予定です。MRは心不全の状態などによって容易に増悪や改善を認めることも多 いため、当院では運動負荷心エコーを含めた精査を行うことでMRの治療適応を評価しております。「心不全増悪を繰り返しているMR症例」や「心不全増悪時にMR増悪を認める症例」、「高齢などの理由で開胸手術困難と考えられるMR症例」など、治療適応に迷われる症例も含めまして、お気軽に水曜日の虚血グループ外来までご紹介いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
(東北大学病院循環器内科 広報誌 HEART61号より改編させていただきました。オリジナルはこちら)
「マイトラクリップ®(MitraClip®)」についてです。
2022.8.23
経皮的僧帽弁接合不全修復デバイス「マイトラクリップ®(MitraClip®)」
図 | |||||
経皮的僧帽弁接合不全修復術デバイス(商品名 マイトラクリップ®:MitraClip®)(図)は、腿静脈からカテーテルを挿入し、心房中隔穿刺によってで右房から左房へクリップを持ち込み、僧帽弁の接合不全部位に留置するデバイスです。僧帽弁閉鎖不全症(MR) に対する介入は外科手術が第一選択ですが、高齢、虚弱、複数の併存疾患、開胸手術の既往などの様々な要因で外科手術が困難となる場合が多いために、MitraClip®による治療は低侵襲な代替的治療選択肢として、現在までに世界中で10万人上に用いられてきました。本邦でも、2018年4月から保険適用となっております。 本邦においては、左室駆出率(LVEF)30%以上であることがMitraClip®治療の適応基準でしたが、2020年4月にLVEF20%以上に適応拡大されております。この適応拡大は、MitraClip®の有効性と安全性を評価する無作為化比較対照臨床試験であるCOAPT試験の結果を受けて承認されたものです(G.W.Stone,et al. N Engl J Med. 2018; 24:2307-18)。 |
COAPT試験においては、高度または中等度から高度の機能性MRを有する心不全患者614名を対象に、至適薬物療法単独群と比較して、MitraClip®+至適薬物療法群の有効性を評価しており、LVEF20-30%の患者においてもLVEF30%以上の患者と同様に全死亡、心不全による入院、6分間歩行、QOLといった様々な指標において、MitraClip®+至適薬物療法群で有意な改善を認めたことが示されております。
当院においては、2022年7月にMitraClip®治療の初回症例を経験し、ハートチームのもと今後も症例を重ねてゆく予定です。MRは心不全の状態などによって容易に増悪や改善を認めることも多 いため、当院では運動負荷心エコーを含めた精査を行うことでMRの治療適応を評価しております。「心不全増悪を繰り返しているMR症例」や「心不全増悪時にMR増悪を認める症例」、「高齢などの理由で開胸手術困難と考えられるMR症例」など、治療適応に迷われる症例も含めまして、お気軽に水曜日の虚血グループ外来までご紹介いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
(文責:羽尾 清貴:虚血グループ)
(東北大学病院循環器内科 広報誌 HEART61号より改編させていただきました。オリジナルはこちら)