医療関係者の方

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1 心不全診療ガイドライン 2 SGLT2阻害薬と心不全 3 新規のミネラルコルチコイド受
    容体拮抗薬エサキセレノン(ミネ
    ブロⓇ)
4 頻脈性不整脈に対するカテーテ
    ルアブレーションの長期予後効果

   ここは臨床に役立つ情報を提供していくページです。是非先生方でお互いに情報提供をして
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第4回目は頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションの長期予後効果についてです。
2019.5.8
    

頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションの長期予後効果


  心房細動に対するカテーテルアブレーションはその有効性・安全性が知られており、現在、多くの施設で施行されている手技です。しかし、死亡・心不全入院などの予後に関する報告は限られていました。最近、心房細動に対するカテーテルアブレーションの予後に関する報告がされましたので、ご紹介いたします。
 

 CASTLE AF Study (New England Journal of Medicine、2018;378:417-27.)


  低心機能の慢性心不全(左室駆出率35%以下)に合併した症候性心房細動症例を無作為にアブレーション治療群(179名)、薬物療法群(184名)に振り分けた試験です。全例に植え込み型除細動器(ICD)もしくは両心室ペーシング機能付植え込み型除細動器(CRT-D)が植え込まれ、心房細動再発の有無がICD/CRT-Dのデータでも正確に確認できるようにされています。平均観察期間37.8カ月での主要複合エンドポイント(全死亡と心不全入院)、ならびに全死亡・心不全入院・心血管疾患による死亡のいずれにおいても、薬物療法群に比して アブレーション群で有意にイベントが少ない結果でした。サブ解析では、左室駆出率25%以上の症例ではアブレーション群の有効性が有意に認められるものの、25%未満の症例ではアブレーション群の優位性が示されませんでしたので、これらの症例に対する検討は今後必要になってくる可能性があります。本研究の結果を受けて、海外や我が国のガイドラインも更新トされています。我が国のガイドラインにおいては、心不全合併心房細動症例に対するカテーテルアブレーションはClass IIaの適応とされています。
 


 CABANA Randomized Clinical Trial (Journal of the American Medical Association、2019 Mar 15. doi: 10.1001/jama.2019.0693. [Epub ahead of print])


  心房細動症例(EF 35%未満は5%未満の症例ですので多くが心機能が保たれている症例)での死亡率・塞栓症リスクについて、カテーテルアブレーション群(n=1108)と薬物療法群(n=1096)を無作為比較検討した試験です。平均観察期間48.5カ月において、intention-to-treat analysis(割り付け群のまま比較)では、主要複合エンドポイント(死亡・麻痺の残存する脳卒中・重篤な出血・心停止)並びに全死亡では両群間に有意差を認めませんでした。しかし、死亡または心血管疾患による入院、ならびに心房細動の再発については、アブレーション群で有意にイベントが少ない結果でした。ただし、本研究では、実際には、薬物療法群に割り付けられた症例の約30%が最終的にカテーテルアブレーションを受けています。これを踏まえて、per protocol analysis(薬物療法群のうち、アブレーションを受けた症例はその時点で解析から除く)で解析すると、主要エンドポイントにおいてもアブレーション群で有意にイベントが少ない結果が得られています。薬物療法群からアブレーション群への移行(cross-over)が多い試験となっており、解釈には注意を要すると思われます。なお、同時に発表されたCABANA trialのQOLに関する論文では、薬物療法群に比してアブレーション群で有意にQOLの改善が認められたとの結果が出ています。


             
(文責:東北大学病院 循環器内科 中野 誠 先生)

(東北大学病院循環器内科 広報誌 HEART52号より改編させて頂きました。オリジナルはこちら